『荒木飛呂彦の漫画術』に荒木先生の美学をみた

cover

『ジョジョの奇妙な冒険』の作者、荒木飛呂彦先生が漫画の描き方を明かすハウツー本『荒木飛呂彦の漫画術』が4月17日に発売されたので早速購入して読みました。
荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)

僕は漫画はおろか、絵も他人に見せられるようなレベルでないのでこの本のターゲット読者として相応しくない気もしましたが、何よりずっとジョジョのファンだし、一番好きな漫画家がこの手の本を出したとなれば、読まない手はないと思い購入しました。

これはかなりの実践本だ

この系統の本って結局、作者インタビューとか自慢話に走ってしまいそうな感じがするんですが、想像以上に実戦的な目線で漫画の描き方をレクチャーしてます。

はじめに、導入の描き方、漫画の「基本四大構造」、実践編、おわりに。
といった短いながらも濃い内容です。荒木先生の事だから、美術学的な高等な話に持ってかれるかと思いきや、ジョジョやそれ以前の作品のコマを元に、テクニックを解説しているので分かり易いです。

デビュー作の武装ポーカーをなんとか載せるため、それ以前に、編集者に最後まで読んでもらうために様々なテクニックを用いた解説はとても納得できます。
家に武装ポーカーがあるんですが、解説を読んでからだとまた違った楽しみ方が出来てオススメです。
武装ポーカーは下記の、ゴージャスアイリンの総集編に一緒に収録されています。
ゴージャス★アイリン―短編集 (集英社文庫―コミック版)

漫画家は漫画を読むのも仕事

漫画家の仕事は当然、「漫画を描く」事だと思いますが、同時に「漫画を読む」事も大事なんだと思わされます。
俗にいう、インプットですね。
往年の作品はもちろん、最近の作品だと蟲師とかもちゃんと読んでインプットをしています。(蟲師の世界観、見せ方を褒めたりしている)

意外にも孤独のグルメも見ているようでした。話題作は確実に見ているようです。

全体を通して、鳥山明先生などをベタ褒めしてますね。鳥山明先生の似顔絵が凄いと褒めているくだりは思わず微笑んじゃいます。漫画家が他の漫画家を称賛している図って良いですよね。
その業界、世界での友情というか熱い繋がりを感じて素敵だなと感じます。

他にもいくつか心打たれる、納得できる言葉があったので箇条書きで記します。
(記憶で書くので本書とは書き言葉に差異があります

  • 一コマ目は「5W1H」が基本
  • いいキャラが作れればそれで漫画が描ける(と言う漫画家もいる)
  • キャラを作るときは身上調査書を作る
  • 絵は漫画家にとって「必殺技」
  • 漫画は「起承転結」。起承転結を日常を通じて体で覚える、理解する
  • アイデア不足にはならない
  • 逆に「次どうしようかな~」とか考えだしたら引退だと思う
  • 日常のあらゆるに「興味がなくなる」からアイデアが枯渇する

荒木先生は僕ら読者が思っていた以上に、理論的かつ丁寧に漫画を描いています。
だからこそ面白い、支持される。と納得しっぱなしの一冊です。

通して読んで思ったのは、ジョジョファンは間違いなく読んで損はないという事。
ジョジョはそこまで好きでもないけど、漫画家のハウツー本て面白そうだな、という人も読んで損はないと思います。