ロードレース用語解説:「逃げ」

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定期的にロードレース用語を解説していきます。
ロードレースを観るにあたり、最初に「?」となるのが「逃げ」という言葉。

「逃げ」とは?
レースでは多い場合200人以上の選手が走るわけですが、その中から抜け出して、
小集団もしくは1~2名などの少ない人数で先行して走ることを「逃げ」と呼びます。

●なぜ「逃げ」をするのか

1:逃げ切り勝利狙い
殆どの場合、逃げ切りの勝利は難しく、残り10kmや20kmで集団が逃げを捕まえるのが様式となっています。
自転車は空気抵抗の影響で集団で走る方が速く、逃げの小集団では空気抵抗削減のための先頭交代を少ない人数で行わなければならず、疲労します。

逃げ集団はメイン集団で走るより疲労も強く、博打的な側面が強いので逃げ切り勝利自体がとても栄誉ある勝ち方です。
(故に決まることが滅多にない)
41002156144c980e264ffb逃げ切り勝利を得意とする、ロット・スーダルのトーマス・デヘント。
逃げに挑み、勝つ姿はどんな勝利よりも圧巻。

2:目立つため
「逃げ」は一つの慣例であり、逃げている選手は多くテレビに映ることができます。
200kmのレースで180km逃げたとしたら、大体3~4時間は逃げ集団として長くテレビに映れるので、スポンサーへのアピールとして逃げをする事もあります。
逃げをしている集団は、メインの集団からの逃げ切りを第一目的としているため、タイム差や疲労具合など、メインカメラに映される時間が圧倒的に多いです。

グランツールではワールドツアーチームの他に、プロコンチネンタルチームが出場するのが通例ですが、
プロコンチームはグランツールに折角出たなら、逃げで目立ちたい(あわよくば勝ちたい)と思い、必ず逃げアタックをします。
NIPPO5逃げに乗れば前方カメラを独占できる。
チーム名やスポンサー機材・ジャージに入ったスポンサー名などのアピール機会も沢山。


3:ポイント狙い
レースには中間スプリントといって、途中にスプリントでポイントを稼ぐ箇所が設けられてます。
レースによって中間スプリント賞が設定されているレースもあり、このポイントのために逃げ、ポイントを稼ぐことを目的とする選手が一部います。
逃げの集団の中には、「A:ポイントがほしい選手」と「B:マジで逃げ切りで勝利したい選手」がいた場合、Bの選手はAの選手に中間スプリントを容認したりします。
逃げの中にも目的の違う選手がおり、場合によって協力しあう場面が存在します。


4:メイン集団での仕事を抑えるため
逃げが生まれた時点でメインの集団は逃げ集団をいつ捉えるか、計算を始めます。
そしてメイン集団でローテンションをし、逃げを捕まえられる絶妙なタイミングを考えながら走ります。
逃げ集団に自分チームの選手を入れられたチームは、この仕事を放棄できます。
なぜなら、折角逃げている逃げ集団に自分のチームメイトがいたら、そのチームメイトの仕事を潰すことになるからです。
チームメイト1人を逃げに送り込み、他数人のチームメイトを集団で休ませる、などチームによっては逃げを効果的に使ってレースを組み立ててます。


5:前待ち作戦
滅多に見れない逃げの手段です。先ず、このために逃げに乗った選手は前述の1~4とは異なる目的を持ってます。
あらかじめ逃げに乗り、最良のタイミングで前方でエースを更に引っ張る、という目的を持つます。
この作戦を履行できるのは、エースアシスト・準エースなど実力のある選手にしかできない作戦です。


そもそも逃げを容認する日もある
グランツールなどの長丁場のレースでは3週目の最後の方に、逃げが勝つのを容認する日もあります。
総合順位の高いエースを抱えるチームの選手は逃げをする余裕がなくなります。

総合争いに絡まないチームから、逃げを得意とする選手が数名飛び出し、ステージ勝利を狙うケースが現れます。
総合勢(メイン集団)は総合勢だけの勝負のため、その日のステージ勝利は逃げの中からでいいや、と逃げ勝利を容認します。

この場合、逃げ集団が5人であれば勝率は20%(5分の1)になるので、100人集団で勝つより20倍勝率が高まります。

エスケープした3人の選手、先頭はボドナールステージレースで逃げに毎日果敢に挑めば、観客にも名前を憶えてもらいやすい
スポンサーアピールもあるけど、個人のキャリアアップとして強さを証明するために、逃げに乗ることも。